小規模の崩落を起こした山の洞窟の中から、遊んでいた子供が数人、遺体で発見された。
何人かは窒息で亡くなっており、助けを呼ぶ声は外に届いていたという。
「なぜ、声が聞こえたのに助けなかったのか」
と言うインタビューに対し、村人は答えている。
「あんたらのせいだよ。」
「あの日、ちょうど心霊番組の撮影が来ていてさ。霊媒師って人が穴の奥から怨霊の声がするから近寄っちゃ駄目だって言ったんだよ。」
「霊媒師って人は穴の入り口にしめ縄飾ってブツブツ祈ってたよ。」
番組を企画していた局では青くなって霊媒師を探したが、あの日以来、その姿は忽然と消えた。
ポッカリ黒い口を開けた穴の中。
「本物がぁ!」
と叫びながら引きこまれていく霊媒師の姿を見たという者もいるらしいが、誰も助けには行かなかった。
「声がしても近寄っちゃ駄目だって言われたし。」