相乗り

9

薄ぼんやりと揺れる街灯だけを頼りに走る深夜。
辻を曲がる度に人が立っているような錯覚に襲われて身震いする。

もうずいぶん長い時間乗せている後部座席の男が声を掛けてきた。

「拾ってあげないのかい。」

「お客さんは相乗りになってもいいんですか?」

「構わないよ。どうせ今だって相乗りじゃないか。」

バックミラーを確認した。お客は1人しか乗せていない。

「誰と……」

暗闇の中で男の口元が引きつったように歪んだ。

「昨晩、零時。自分のした事を忘れたか。」

そうだ。

轢き殺してしまった酔っ払いを車に積んだ。

「お前と俺は道連れだ。」

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