今日もご飯を作って、綺麗に盛って食卓に並べる。
時間をかけて味が沁みた茶色いブリ大根。
ゆで卵入りのマカロニサラダ。
ひき肉を炒めて荒く潰したマッシュポテトで包んだコロッケ。
どれも良い出来栄え。
けれども、温かい内に食べてくれる家族は居ない。
いつかはこうなると知っていたけれども、夫は帰って来ない。
独りきりの食事は寂しい……寂しい……。
私は涙をこぼしながら独りでご飯を食べる。
帰宅したら、今日も食卓に食事が並んでいた。
妻が結婚する時に実家から持ってきた人形が、今日も妻の椅子に座っている。
白いドレスにピンク色のフリルのエプロン。
黄色い巻き髪と口元に真っ赤なケチャップが付いている。
胸元も。
あの日と同じように真っ赤なケチャップで染まっている。
食べるから……。
そろそろ赦してくれ……。