ツイッターは面白い。
自分の手で集めた「話が合う」人たちが、『タイムライン』と呼ばれる私のページで好きな事をつぶやいたり語り合ったりする。
地震が起きた時は、ニュース速報よりも早く情報を伝えてくれる。
お天気もそうだ。
話の内容から何となく近県に住んでいると思われる人が「雨だ」とつぶやいたら、こっちも用心して洗濯物を取り込む。
しばらくしたら、本当にこっちの空にも雨が来る。
情報網として便利。
九州の人が暑いと言っていると思えば、北海道の人は雪だと言っている。
日本は長いと実感する。
ある時、西の方に住んでいると思われる人たちが
―― 地震だ!
―― 助けて!
と、騒ぎ出した。
―― 水が! 水が!
―― 助けて!
「どうしたんですか? 」「だいじょうぶ? 」
いくら呼びかけても返信がこない。
その日以来、西の方に住む人たちは私の『タイムライン』から消えた。
テレビのニュースも新聞も、大きな災害を報じることはなく、何も変わらない風景は気味が悪かった。
その何日か後。
東に住んでいる人たちが、今度は
―― 地震だ!
―― 助けて!
というつぶやきを残して姿を消した。
私の『タイムライン』に残っているのは、この近隣に住んでいると思われる人たちだけになった。
私だけではなく、みんなの『タイムライン』もそうらしい。
テレビは相変わらず日本全国のニュースを報道し、バラエティ番組やドラマを流し続けている。
本当の日本は、今、どうなっているのだろう。
もう何年もこの家から外に出ていないけれども、私は外を確かめようと玄関を一歩出た。
―― ITH50 の『ひきこもり実験』を終了します。
―― やはり、人は切羽詰まれば行動を起こすということか。
―― 現実の繋がりよりもインターネット情報を切ることですね。